まず、短く答えると
Apple Watchの睡眠時呼吸数は、眠っている間に1分あたり何回呼吸していたかを表す推定値です。健康な成人を対象にした別機種の大規模ウェアラブル研究では、夜間推定値の90%が11.8〜19.2回/分でしたが、これはApple Watchの正常・異常を分ける基準ではありません。自分の通常範囲と比べ、変化が続くか、症状を伴うかを確認します。
この記事の要点
- 睡眠時呼吸数は、睡眠中の呼吸の速さを「回/分」で表す
- 11.8〜19.2回/分という研究値は参考であり、Appleの正常・異常判定ではない
- 一晩の値より、自分の数週間の傾向を同じ条件で比較する
- 呼吸数と「呼吸の乱れ」は別の指標で、呼吸数だけでは睡眠時無呼吸を判定できない
- データなしの場合は、睡眠設定、装着時間、充電、フィットを確認する
睡眠時呼吸数は「1分間の呼吸の回数」
呼吸数は、息を吸って吐く一組を1回として、1分間に何回呼吸したかを表します。Apple Watchは睡眠中の呼吸数を記録し、ヘルスケアアプリに回/分のデータとして保存します。
iPhoneでは、夜間に記録された呼吸数の範囲や、日・週・月単位の推移を確認できます。これは睡眠中の呼吸の速さを見る指標であり、一回ごとの呼吸の深さや酸素の状態を直接表す数字ではありません。
睡眠時呼吸数の正常値は?
Appleは、睡眠時呼吸数について全員共通の正常値や診断用のしきい値を示していません。年齢、体格、睡眠ステージ、体調、測定方法などによって数字が異なるためです。
健康な成人のウェアラブル利用者を調べた2021年の研究では、夜間呼吸数の90%が11.8〜19.2回/分に入り、平均は15.4回/分でした。ただし、この研究はFitbitの機器と独自アルゴリズムを用いており、著者全員がFitbit所属でした。Apple Watchの正常・異常を区切る線としては使えません。
まずは、自分が普段元気な時期の値を数週間見て、どの範囲に収まりやすいかを確認します。同じ18回/分でも、普段14〜16回/分の人と、普段17〜19回/分の人では変化の大きさが違います。
いつもより高いときに確認したいこと
一晩だけ高くなった場合は、病気と決めつけず、測定条件と前後の状況を確認します。バイタルアプリについてAppleは、服薬、標高、飲酒、病気などが夜間指標へ影響する可能性があると説明しています。
ウェアラブル研究では、夜間の呼吸数と心拍数に関連が見られ、呼吸器感染症の期間に普段より高くなる人がいることも報告されています。ただし、高い値だけから原因を逆算することはできません。
- 鼻づまり、せき、発熱感など体調の変化がある
- 飲酒や服薬など、普段と違うことがあった
- 旅行や登山で標高が大きく変わった
- 睡眠中の心拍数や手首皮膚温も普段と違っている
- Apple Watchが緩かった、途中で外れた、睡眠時間が短かった
「呼吸数」と「呼吸の乱れ」の違い
呼吸数は、「どのくらいの速さで呼吸したか」を回/分で表す数字です。一方、Apple Watchの「呼吸の乱れ」は、加速度センサーで睡眠中の手首の動きを分析し、その夜を「高い」または「高くない」に分類する別の機能です。
睡眠時無呼吸の通知は、30日間で少なくとも10晩分のデータを使い、呼吸の乱れが一貫して高い場合に、中等度から重度の睡眠時無呼吸の兆候を知らせます。
同じ平均呼吸数でも、ほぼ一定に呼吸していた場合と、途中で乱れがあった場合では呼吸のパターンが異なります。そのため、呼吸数が高いだけで睡眠時無呼吸とは判断できず、呼吸数が普段通りでも睡眠時無呼吸を否定することはできません。
- 睡眠時呼吸数:呼吸の速さを回/分で表示する
- 呼吸の乱れ:一晩の乱れを「高い」「高くない」で分類する
- 睡眠時無呼吸の通知:30日間の呼吸の乱れのパターンを分析する
高かった日の読み方
一晩の値か、続いている変化かを見る
日表示だけで結論を出さず、週や月へ切り替え、翌日以降に普段の範囲へ戻るか確認します。
ほかの夜間指標も確認する
睡眠時間、睡眠中の心拍数、手首皮膚温、呼吸の乱れなども同じ方向へ変化していないか見ます。
前日の状況を記録する
飲酒、服薬、標高、鼻づまり、発熱感など、普段と違ったことを短く記録します。
症状を優先する
Apple Watchの数字が範囲内かどうかより、息苦しさ、せき、発熱、強いだるさなどの自覚症状を優先します。
データが表示されないときの確認項目
睡眠記録を確認する
iPhoneのWatchアプリまたはヘルスケアで、「Apple Watchで睡眠時間を記録」が有効か確認します。
1時間以上着けて眠る
Appleは、睡眠データを取得するためにApple Watchを装着した状態で1時間以上眠るよう案内しています。
就寝前に30%以上充電する
睡眠中にバッテリーが切れるとデータは記録されません。充電リマインダーも利用できます。
Watchのフィットを確認する
きつすぎず緩すぎない位置で、背面が皮膚に安定して触れるように装着します。
呼吸数の設定を確認する
Apple Watchの「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「ヘルスケア」→「呼吸数」で、測定がオフになっていないか確認します。
iPhoneで睡眠時呼吸数を見る場所
ヘルスケアを開く
iPhoneの「ヘルスケア」アプリを開きます。
「呼吸」を選ぶ
画面下部の「検索」をタップしてから、「呼吸」を選びます。
「呼吸数」を開く
「さらに呼吸数データを表示」をオンにすると、「睡眠」の項目で睡眠中の範囲を確認できます。
期間とデータソースを確認する
週や月表示へ切り替え、「すべてのデータを表示」から記録日時やデータソースも確認します。
医療機関へ相談する目安
呼吸数が一晩だけ普段と違っても、それだけで病気を意味するわけではありません。ただし、普段より高い状態が続く、せきや発熱などを伴う、強いいびきや呼吸が止まる様子を指摘される、日中の強い眠気がある場合は医療機関へ相談してください。
強い息苦しさ、胸の痛み、唇の色の異常、意識がぼんやりするなどの症状がある場合は、Apple Watchの数値や通知を待たず、地域の救急窓口や医療機関を利用してください。
参考資料
- Apple Watchで睡眠を記録する — Apple Watchユーザガイド
- Apple Watchで睡眠を記録してiPhoneで「睡眠」を使う — Apple サポート
- Apple Watchで夜間バイタルを把握する — Apple サポート
- Apple Watchの睡眠時無呼吸の通知 — Apple サポート
- Measurement of respiratory rate using wearable devices and applications to COVID-19 detection — npj Digital Medicine
