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寝る前に考え事が止まらない。明日の用事を書き出してみる

布団に入ってから、明日の用事を思い出した。「あのメールに返事をしなきゃ。」「帰りに買うものがあった。」「まだ終わっていない仕事、どこから手をつけよう。」眠りたいのに、頭の中では明日の準備が続いている。忘れないように考えているうちに、少しずつ目がさえてくる。そんな夜は、覚えておきたいことを、短く書き出してみる方法があります。

寝る前に考え事が止まらない。明日の用事を書き出してみる

まず、短く答えると

明日以降の用事が頭から離れないときは、紙に短く書き、今夜はいったん区切ってみましょう。小規模な実験では、これからすることを書いた人のほうが、済ませたことを書いた人より早く眠りにつきました。ただし、必ず眠れる方法ではありません。書くことが負担になる日は、無理に続けなくて大丈夫です。

この記事の要点

  • 明日以降の用事を書き出すことが、寝つきに役立つ可能性を示した研究がある
  • 研究は健康な若い成人を対象にした一晩の実験で、「何も書かない場合」とは比較していない
  • 用事を並べるだけでなく、次にすることを短く添える方法もある
  • 今夜すべてを解決したり、きれいな文章にしたりする必要はない
  • 眠りの困りごとが続くときは、書き方だけの問題と考えずに相談する

就寝前の「5分間」を調べた研究

2018年に発表された研究では、健康な18〜30歳の成人57人を、二つのグループに無作為に分けました。

一方は、明日から数日以内にする用事を。もう一方は、今日から過去数日間に済ませたことを。それぞれ、寝る直前に紙へ5分間書きました。

脳波などを記録する睡眠検査で調べると、眠りにつくまでの平均時間は、これからの用事を書いたグループで約16分、済ませたことを書いたグループで約25分でした。比較したのは、この二つの書き方です(Scullinら、2018年)。

ただし、「何も書かないグループ」はありません。そのため、普段何も書かずに寝ている人が、書き始めれば同じだけ早く眠れるとは言えません。

また、研究室で過ごした最初の一晩の結果です。自宅で長く続けた場合や、不眠症の治療としての効果までは、この研究ではわかりません。

「書けば眠れる」と決めるより、頭に残っている用事を扱う方法の一つとして考えるのがよさそうです。

用事を終える前に、次にすることを決めてみる

「資料を仕上げる」

「手続きをする」

「返事をする」

用事の名前だけだと、何から始めればよいかが、まだ曖昧なこともあります。

そんなときは、「明日の午前中に、資料の見出しを考える」「昼休みに、必要な書類を確認する」のように、次にすることを添えてみます。

別の心理学実験では、未完了の用事について具体的な計画を立てた人は、その用事を考えただけの人に比べ、後の読書中に用事が頭に浮かんだという報告が少なくなりました(Masicampo・Baumeister、2011年)。

これは睡眠を調べた研究ではありません。ただ、用事そのものを終える前でも、取り組み方を決めることが、考え続ける状態と関係する可能性を示しています。

夜のうちに仕事や家事を再開しなくても、明日の自分が取りかかれる形にしておく。そのくらいの区切り方を試してみてもよいでしょう。

書く内容が違えば、結果も同じとは限らない

用事の一覧を書くことと、つらい気持ちを詳しく書くことは、同じではありません。

不眠のある28人を対象にした別の実験では、考えや心配、感情を書く方法を3晩試しました。寝る前に考えが活発になる状態を測った二つの指標のうち、一つでは改善が見られましたが、寝つくまでの時間には統計上はっきりした短縮が確認されませんでした(Mooneyら、2009年)。

先ほどの用事を書く研究とは、参加した人も、書く内容も違います。同じ方法を試して結果が食い違った、ということではありません。

ここから考えたいのは、「書く」という行動を一つにまとめないことです。明日の準備を整理したいのか、今日の気持ちを残したいのか。目的に合わせて、書く内容や時間を選んで構いません。

今夜試すなら、短く書いて区切る

ここからは、研究をそのまま再現する手順ではなく、普段の暮らしで試すための書き方の一例です。

  1. 寝床に入る前に、紙とペンを用意する

    まずは、机などで短く書ける時間を取ってみます。専用のノートを用意しなくても、明日見返せる紙があれば十分です。スマホを開くと、ついメールやSNSまで見てしまう人は、紙を選ぶ方法があります。すでに眠いときは、書くために夜更かしをする必要はありません。

  2. 忘れたくない用事を、思い浮かぶ分だけ書く

    文章に整えず、短い箇条書きにしてみましょう。「明日、メールに返事をする」「帰りに洗剤を買う」「週末の手続きに必要なものを確認する」。思い出せる用事を全部集めようとしなくても構いません。今、頭に残っているものから書いてみます。

  3. 曖昧な用事には、次の一歩を添える

    「手続きを進める」なら、「明日の昼休みに、必要書類を確認する」。「部屋を片づける」なら、「明日の夕食後に、机の上だけ片づける」。予定を細かく埋める必要はありません。次に見たとき、何をすればよいかがわかる言葉を添えてみましょう。

  4. 短い時間で閉じる

    先ほどの睡眠の実験では、5分間書いていました。ただし、日常で試すときに、必ず5分間書き続けなければならないわけではありません。書いた用事は、明日見返せるところに置きます。今夜のうちに一つずつ片づけ始めなくても大丈夫です。「今日はここまで。」そう区切って、紙を閉じてみましょう。

今すぐ答えの出ない心配もある

考え事の中には、用事の一覧にできないものもあります。

「あの言い方で、嫌な気持ちにさせたかな。」

「明日、うまくいかなかったらどうしよう。」

英国のNHSは、心配を書き出したうえで、具体的に行動できる問題と、自分ではコントロールできない心配を分けて考える方法を紹介しています(NHS「Tackling your worries」)。

行動できることには、次にすることを添える。今は答えが出ないことは、「まだ気になっている」とだけ残す。すべてに解決策を書かなくても構いません。

この研究で扱った用事の書き出しが、悲しい記憶や人間関係の悩みにも同じように役立つとは限りません。書くほどつらくなるなら、途中でやめてよいのです。寝る前に気持ちを深く掘り下げることを、自分への宿題にしなくて大丈夫です。

翌朝は、感じたことを一言だけ

試した翌朝は、「何分で眠れたか」を正確に測ろうとしなくても構いません。

「用事を何度も思い出す感じは、少なかった。」

「書いたけれど、昨日はあまり変わらなかった。」

「予定が増えて見えて、少し落ち着かなかった。」

そんな一言でも、自分にとっての使い心地が残ります。

Feelmoのこころ日記に残すなら、「明日の用事を紙に書いた。少し区切りをつけられた」のように、自分の言葉で短く書けます。紙や、普段のメモでも構いません。

一晩よく眠れたとしても、書き出しだけが理由とは限りません。反対に、眠れなかった一晩を、書き方の失敗と考える必要もありません。

見たいのは、うまく書けたかよりも、夜の過ごし方として無理がないかです。

眠れない日が続くときは

眠るための時間を取っていても寝つけない。眠りが浅く感じられ、日中の仕事や家事に支障がある。そうした状態が続くときは、書き出しだけで何とかしようとせず、医療機関へ相談してください。厚生労働省が公開する睡眠ガイドでも、生活の妨げになる睡眠の悩みが続く場合は、相談が勧められています(Good Sleepガイド・成人版)。

長く続く不眠には、睡眠に関する考え方や習慣を扱う「不眠のための認知行動療法(CBT-I)」が、最初に検討される治療として勧められています。用事を書き出すことだけで、この治療の代わりになるわけではありません(NHLBI)。

記録をそろえてから相談しようと、待つ必要はありません。今、どんなことに困っているかを、そのまま伝えて構いません。

参考資料

  1. Scullin MK, Krueger ML, Ballard HK, Pruett N, Bliwise DL. (2018). The effects of bedtime writing on difficulty falling asleep: A polysomnographic study comparing to-do lists and completed activity lists — Journal of Experimental Psychology: General, 147(1), 139–146. DOI: 10.1037/xge0000374
  2. Masicampo EJ, Baumeister RF. (2011). Consider it done! Plan making can eliminate the cognitive effects of unfulfilled goals — Journal of Personality and Social Psychology, 101(4), 667–683. DOI: 10.1037/a0024192
  3. Mooney P, Espie CA, Broomfield NM. (2009). An experimental assessment of a Pennebaker writing intervention in primary insomnia — Behavioral Sleep Medicine, 7(2), 99–105. DOI: 10.1080/15402000902762386
  4. Tackling your worries — Every Mind Matters — NHS
  5. Good Sleepガイド(ぐっすりガイド)成人版 — 厚生労働科学研究費補助金研究班作成・厚生労働省公開
  6. Insomnia — Treatment — National Heart, Lung, and Blood Institute(NHLBI)
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