睡眠

眠いのに、寝たくない夜。「自分の時間」が足りなかった日へ

仕事を終えて、食事を済ませて、片づけをして、明日の支度も終わった。ようやく座れたころには、もう寝たほうがいい時刻。目は重いし、明日の朝がつらくなることもわかっています。それでも、スマホを閉じるのが惜しい。

眠いのに、寝たくない夜。「自分の時間」が足りなかった日へ

まず、短く答えると

眠いのに寝たくない夜には、「まだ自分の時間を過ごせていない」という気持ちがあるかもしれません。欲しかった時間を具体的な言葉にして、今夜は区切りのある楽しみを一つ選ぶ。眠る時間も自分の時間も大切にできる形を、できる範囲から探してみましょう。

この記事の要点

  • 「眠いけれど、今日を終わらせたくない」という気持ちも、一緒に扱う
  • 就寝を先延ばしにする背景はさまざまで、一つの理由では説明できない
  • どんな「自分の時間」が欲しかったのか、具体的な言葉で振り返る
  • 区切りのある楽しみや、少し早い時刻の自分の時間を試してみる
  • 睡眠の記録には、昨夜の気持ちと翌朝の体感も添えてみる

ようやく、自分の時間になった夜

「ここで寝たら、今日は仕事と家事だけで終わってしまう。」

誰にも返事をしなくていい。何も頼まれない。好きなものを、好きな順番で見られる。そんな時間が、やっと来たところなのかもしれません。

眠る時間を考えるときには、この「ようやく自分の時間になった」という気持ちも、一緒に扱ってみたいと思います。

寝るのを先延ばしにする理由は、一つではありません

就寝を妨げる用事などがないのに、予定した時刻より遅く床に入ることを、研究では「就寝の先延ばし(bedtime procrastination)」と呼びます。177人を対象とした調査では、この傾向と、自分で感じる睡眠不足との関連が報告されました。ただし、一時点の調査なので、原因と結果の順番まではわかりません(Kroeseら、2014年)。

では、なぜ寝る時刻を遅らせるのでしょうか。

17人に詳しく話を聞いた別の研究では、「自分のための時間を持ちたい」という理由が見られました。一方、好きなことに夢中になって時間を忘れる人などもいて、背景はさまざまでした。これは少人数への聞き取りであり、すべての夜更かしを説明するものではありません(Nautsら、2019年)。

仕事や育児などで、そもそも眠る時間を確保できない場合もあります。床に入ってから眠れない場合もあります。夜が遅くなる事情を、自分の生活に沿って見ていくことが大切です。

この記事では、その中でも「眠いけれど、今日をまだ終わらせたくない」という夜を考えます。

欲しかったのは、どんな時間だったでしょう

動画をいくつも見たのに、何を見たかはあまり覚えていない。でも、画面を閉じる気にはなれなかった。

そんな夜には、見ていたものに加えて、その時間をどう過ごしたかったかを振り返ってみると、気づくことがあるかもしれません。

少し笑いたかった。誰にも気を使わずにいたかった。自分で選んだことをしたかった。明日のことを考えずに過ごしたかった。

「自分の時間が欲しい」という言葉の中身は、人によって、その日によって違います。

もし一言残すなら、「今日は誰にも返事をしなくていい時間が欲しかった」。それくらい具体的な言葉で十分です。その気持ちがわかると、夜の過ごし方を考える手掛かりになります。

今夜、少し変えるとしたら

今の生活に合いそうな工夫を、一つ選んでみてください。

1. 満足できる区切りを、先に選ぶ

好きな曲を一曲聴く。本を数ページ読む。気になっていた写真を眺める。

始める前に「今日はこれを楽しむ」と決めておくのは、一つの試し方です。終わりが見えるものなら、楽しんだ時間を振り返りやすくなります。

米国国立心肺血液研究所は、寝る前の時間を静かに過ごし、テレビや画面などの明るい光を避けることを勧めています。眠る前の楽しみも、自分が落ち着けるものから選んでみましょう(NHLBI、Healthy Sleep Habits)。

2. 自分の時間を、少し早い時刻にも置いてみる

時間を動かせる日なら、昼休みの終わりに数分、夕食後に好きな曲を一曲、といった場所にも小さく置いてみます。

「全部終わったら、自分の時間にしよう」と待っていると、用事が続く日は、その時間が夜遅くになることがあります。生活の途中で少し楽しめる余地があるか、探してみる方法です。

仕事や家庭の事情で、自由に動かせる時間が少ない人もいます。できる範囲は、それぞれ違います。今の暮らしで無理なく選べる場所から考えてみてください。

3. 翌朝の記録に、昨夜の気持ちも添える

Apple Watchでは、推定された睡眠時間や、過去の睡眠の記録を確認できます(Appleサポート)。

そこに、朝の眠気や「休めた感じ」、昨夜どう過ごしたかを一言添えてみます。

「寝るのは遅くなった。久しぶりに好きな本を読めた。朝は少し眠い。」

「動画を見続けた。まだ今日を終えたくなかった。あまり満足した感じは残らなかった。」

眠った時間と、その夜に感じていたことを並べると、自分に合う過ごし方を探しやすくなります。記録は、次の夜を考えるための手掛かりとして使えます。

今日の時間も、明日の眠りも大切にする

眠りたいのに眠れない状態が続く、睡眠不足や眠気が仕事・家事などに影響している場合は、医療機関へ相談してください。生活上の工夫に加えて、原因を確かめることが役立つ場合があります(NHLBI、Insomnia Diagnosis)。

一日の最後に、ようやく残った自分の時間。その時間を終わらせたくない気持ちは、生活を振り返る大切な手掛かりです。

「早く寝たい」と「まだ今日を終えたくない」が、同じ夜にある。

今日の自分の時間と、明日の自分の眠りを、一緒に大切にできる形を、少しずつ探していけたらと思います。

参考資料

  1. Kroese FM, et al. (2014). Bedtime procrastination: introducing a new area of procrastination — Frontiers in Psychology, 5, 611. DOI: 10.3389/fpsyg.2014.00611
  2. Nauts S, et al. (2019). The Explanations People Give for Going to Bed Late: A Qualitative Study of the Varieties of Bedtime Procrastination — Behavioral Sleep Medicine, 17(6), 753–762. DOI: 10.1080/15402002.2018.1491850
  3. Sleep Deprivation and Deficiency: Healthy Sleep Habits — National Heart, Lung, and Blood Institute(2022年)
  4. Apple Watchで睡眠を記録してiPhoneで「睡眠」を使う — Appleサポート
  5. Insomnia: Diagnosis — National Heart, Lung, and Blood Institute(2022年)
眠いのに、寝たくない夜。「自分の時間」が足りなかった日へ|Feelmo