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Apple Watchの「深い睡眠」が少ない。何分なら大丈夫?と気になった朝に

朝、睡眠のグラフを開いたら、「深い睡眠」が30分だった。7時間くらい眠ったはずなのに、思ったより短い。昨日より減っているし、SNSで見かけた人の記録よりも少ない。「ちゃんと休めていなかったのかな。」数字を見るまでは、それほど気になっていなかった朝にも、そんな心配が浮かぶことがあります。深い睡眠は、眠りの大切な一部です。ただ、その表示だけで、昨夜の眠りの良し悪しが決まるわけではありません。

Apple Watchの「深い睡眠」が少ない。何分なら大丈夫?と気になった朝に

まず、短く答えると

Apple Watchの「深い睡眠」は、「何分以上なら大丈夫」という一律の読み方はできません。表示される時間は、脳波を直接測った値ではなく、手首の動きから推定したものです。30分や0分という表示だけで、睡眠障害の有無は判断できません。睡眠時間や記録の状態、朝に休めた感じ、日中の眠気を一緒に確認しましょう。

この記事の要点

  • Apple Watchの「深い睡眠」は、睡眠段階の推定値
  • 健康な人でも、深い睡眠の量には年齢や個人による違いがある
  • 研究で示された平均値や測定のずれを、自分の合格ラインや補正値にはできない
  • 「短く表示されること」と「記録がないこと」を分けて確認する
  • 眠りの困りごとや、いびき・呼吸停止の指摘がある場合は、数字にかかわらず相談する

「深い睡眠」は、どんな眠り?

医療機関などの詳しい睡眠検査では、脳波などをもとに睡眠の段階を分けます。そのうち、ゆっくりした脳波が特徴となる段階が、ノンレム睡眠の「N3」です。「深い睡眠」「徐波睡眠」とも呼ばれ、一晩の前半に多い傾向があります(NHLBI)。

Apple Watchの「深い睡眠」は、このN3に対応する表示です。ただし、Apple Watchは脳波を測っていません。

Appleの技術資料では、呼吸による小さな動きも含めた加速度センサーの情報から、「覚醒」「コア」「深い睡眠」「レム」の段階を推定すると説明されています(Apple、2025年)。

画面には分単位の数字が出ますが、その細かさが、そのまま測定の正確さを意味するわけではありません。

また、一晩の眠りには、コア睡眠やレム睡眠も含まれます。「深い睡眠だけが長ければ、よく眠れている」とは考えず、眠り全体の中の一つの情報として見てみましょう。

平均値を、そのまま自分の目標にしない

「深い睡眠は何分が普通なのだろう」と調べると、時間や割合の目安が見つかることがあります。

その数字を見るときは、誰を対象に、何を使って測った値なのかも大切です。

19〜73歳の健康な成人206人を対象にした研究では、睡眠検査室で2晩続けて眠りを調べました。睡眠の指標には人による大きな違いがあり、同じ人でも2晩の結果は異なりました。深い睡眠の割合にも、検査室で過ごす最初の夜と、次の夜の違いが見られています(Hertensteinら、2018年)。

これは、自宅での毎晩の変化をそのまま示す研究ではありません。それでも、詳しい検査で測った健康な人の眠りにも幅があることがわかります。

深い睡眠は、成人以降、年齢とともに少なくなる傾向もあります(NHLBI)。

研究に出てくる平均は、毎朝達成しなければならない目標ではありません。まして、睡眠検査の平均と、手首から推定した一晩の数字を比べて、自分の眠りに合否をつけることはできません。

Apple Watchでは、短く推定されることもある

Apple Watchと、脳波などを記録する睡眠検査を比べた研究もあります。

2024年の研究には、20〜50歳の健康な成人35人が参加しました。そのうちApple Watch Series 8の記録を解析できたのは29人です。この29人では、深い睡眠が、睡眠検査より平均で約43分短く推定されていました(Robbinsら、2024年)。

ただし、「自分の表示に43分を足せば、本当の深い睡眠になる」という意味ではありません。一人ひとりのずれ方は違います。

この研究は一晩だけの比較で、比較対象の一つであるOura Ring社の資金提供を受けています。また、本文には使用したwatchOSのバージョンが記載されていません。

Appleは、その後の2025年に睡眠段階の推定方法を更新したことも報告しています。過去の研究で得られたずれを、現在のすべての機種やソフトウェアにそのまま当てはめることはできません(Apple、2025年)。

参考にしたいのは、「表示された時間と、睡眠検査で測った時間は一致しないことがある」という点です。少ない表示を見たとき、本当に眠り方が変わった可能性と、推定のずれの両方を考えます。

「少ない」「0分」「記録がない」を分けて見る

似たように見えても、確認したいことは少し違います。

  1. 深い睡眠が30分など、短く表示される

    一晩だけか、最近続いているか。合計の睡眠時間や体感も一緒に見ます。

  2. 深い睡眠が0分と表示される

    ほかのステージや、記録の途切れを確認します。その表示だけでは、実際にN3がなかったとはわかりません。

  3. 睡眠ステージ自体が表示されない

    睡眠記録の設定、装着、充電などを確認します。記録がないことは、眠っていなかったという意味ではありません。

Appleは、睡眠記録のために、充電と手首への適切なフィットを確認するよう案内しています。夜中にバッテリーが切れたり、時計を外していたりすれば、記録がそろわないことがあります(Appleサポート)。

「0分だから、きっと異常だ」とも、「機械の誤差だから、気にしなくてよい」とも、この表示だけでは決められません。

睡眠データそのものが出ていない場合は、この記事の下にある「睡眠が記録されないときの確認方法」も参考にしてください。

朝は、深い睡眠の数字以外も見てみる

深い睡眠が気になった朝は、次の順番で振り返ってみましょう。

  1. まず、自分の感覚を確かめる

    「少し休めた感じがある」「起きたときから眠い」「夜中に何度か目が覚めた」。数字を見る前の感じ方も、短く残してみます。日中に眠気や集中しづらさがあるかも、別の大切な情報です。

  2. 眠る時間を取れていたかを見る

    合計の睡眠時間に加えて、寝た時刻や起きた時刻を確認します。予定より遅くまで起きていなかったか。早起きが続いていなかったか。深い睡眠だけを増やそうとする前に、眠るための時間そのものを確保できていたかを見直します。

  3. 記録がそろっているか確認する

    途中で時計を外した、充電が切れた、装着が緩かった。思い当たることがあれば、数字と一緒に考えます。機種を替えたり、ソフトウェアを更新したりした前後も、表示の変化をすべて体調の変化と決めつけないようにします。

  4. 一晩より、週や月の流れを見る

    世界睡眠学会の一般向け解説では、個々の点数よりも、眠る時刻や中断などの傾向を見ること、生活の記録を添えることが勧められています(World Sleep Society Staff、2025年)。同じ機器で、睡眠時間や生活の流れを振り返ってみましょう。ただし、何日分かを平均すれば、深い睡眠が正確に測れるようになるわけではありません。

Feelmoのこころ日記に残すなら、「寝るのが遅かった。朝は少し眠い」「表示は少なかったけれど、今日は休めた感じがある」など、一言でも構いません。

今夜は、生活の中で変えられることを一つ

「深い睡眠をあと30分増やそう」と思っても、その数字を直接調整することはできません。

まずは、睡眠全体を支える習慣から、取り組みやすいものを一つ選んでみます。

眠る時間を確保する。起きる時刻が大きくずれないようにする。遅い時間のカフェインや寝酒を見直す。寝室を暗く、過ごしやすい温度にする。

厚生労働省が公開する成人向けガイドでも、睡眠時間と朝の休まった感覚を大切にしながら、生活習慣や睡眠環境を整えることが勧められています(Good Sleepガイド・成人版)。

こうした工夫をした翌朝に、深い睡眠の表示が増えるとは限りません。数字の増減だけで、試したことの良し悪しを決めなくても大丈夫です。

また、毎朝グラフを見ることが心配を増やしているなら、見る頻度を下げることも選べます。記録を確認することまで、眠りのための新しい宿題にしなくて構いません。

相談の目安は、分数だけで決めない

十分に眠る時間を取っても休めた感じがない。寝つけない、夜中に何度も目が覚める、日中の眠気で仕事や家事に困る。

こうした状態が続くときは、深い睡眠の表示が多くても少なくても、医療機関へ相談してください(Good Sleepガイド・成人版)。

大きないびきが続く場合や、眠っている間に呼吸が止まると指摘された場合も、表示にかかわらず相談の目安になります。睡眠時無呼吸などを調べる必要があるかは、症状や診察、必要な検査から判断します(NHLBI、Sleep Apnea — Symptoms)。

記録が何週間分もそろうまで、待つ必要はありません。Apple Watchのグラフと一緒に、「いつから、何に困っているか」を伝えられると、相談の手がかりになります。

参考資料

  1. Estimating Sleep Stages from Apple Watch — Apple(2025年10月更新)
  2. How Sleep Works — Sleep Phases and Stages — National Heart, Lung, and Blood Institute(NHLBI)
  3. Hertenstein E, Gabryelska A, Spiegelhalder K, et al. (2018). Reference Data for Polysomnography-Measured and Subjective Sleep in Healthy Adults — Journal of Clinical Sleep Medicine, 14(4), 523–532. DOI: 10.5664/jcsm.7036
  4. Robbins R, Weaver MD, Sullivan JP, et al. (2024). Accuracy of Three Commercial Wearable Devices for Sleep Tracking in Healthy Adults — Sensors, 24(20), 6532. DOI: 10.3390/s24206532
  5. Apple Watchで睡眠を記録してiPhoneで「睡眠」を使う — Appleサポート
  6. World Sleep Society Staff. (2025). Wearable Sleep Tracker Recommendations for Consumers — Healthier Sleep Magazine / World Sleep Society
  7. Good Sleepガイド(ぐっすりガイド)成人版 — 厚生労働科学研究費補助金研究班作成・厚生労働省公開
  8. Sleep Apnea — Symptoms — National Heart, Lung, and Blood Institute(NHLBI)
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